納得できる家づくりとは何なのかを考える。
皆さん、こんにちは。
CAM設計の宮村です。
今朝、広告に「納得の家づくり」というコピーを目にしました。
一般的にどこでも使われているコピーですが、見た後にふと考えてみた。
「納得の家づくり」とは何なのか・・・。
そもそも納得の意味は何なのか?
納得(なっとく)
他人の考えや行動などを十分に理解して得心すること。
※goo辞書より
得心て何?(笑)
得心(とくしん)
よくわかって承知すること。納得すること。
※goo辞書より
出た、無限ループ(笑)
僕はこういう議論をする場合、言葉の定義は非常に重要であると考えている。
言葉の定義がバラバラであれば、同じ言葉を使って違う意味合いを話すことになるので、理解することが非常に困難になってしまうからだ。
ということで、「納得の家づくり」の定義を以下のようにしたい。
「他人の考えや行動などを十分に理解して承知することができる家づくり」
ちょっとわかりにくいので、主体や行動を具体的に書き直す。
「住宅会社の考えや工事などを十分に理解して承知することができる家づくり」
この定義で話を進めたい。
住宅会社の考えを理解する
まずは、「住宅会社の考えを理解する」ことから考えていきたい。
住宅会社は自分たちの考えを具現化した住宅を提供している。
そこには性能・価格・施工性・デザインなど様々な要素があり、全ての要素について検討・判断を行い、「これが良い」と思うものを自社の商品・サービスとしている。
しかし、建築はとても複雑な業種でわかりにくい。
例えば、外壁を塗り壁にする計画を立てる。
塗り壁は継ぎ目がないので、コーキング(防水処理)する必要はないが、保水しやすいため、カビが発生するリスクがある。
このため、表面に撥水材を塗布する必要性が出てくる。(撥水材を必要としない材料もある)
また、木造建築は木の収縮があるため、塗り壁にはクラックがつきものだ。
もちろんクラックが出にくい方法もあるが、それはデザインとの兼ね合いも検討する必要がある。
また、単に塗り壁といってもリシン吹き付けから漆喰など、多くの種類があり値段もピン切りだ。
しかも、施工がシンプルなものほど工事費は安く、手間がかかるものほど高い。
仕上がりは、サンプルで検討するしかなく、仕上がりに満足がいかなくてもやり直すのはナンセンスだ。
このように外壁一つとってみても、検討する要素はとても多く、建築主が材料のメリット・デメリットを全て整理した上で選ぶことは不可能に近いのではないかと思われる。
もちろん、そのために住宅会社の営業マンや設計士がいるのだが、情報を伝えるだけではなかなか理解することはできないのが現状ではないか。
そうなると、「住宅会社の考え方を理解する」という点については、相当難易度が高いことのように思えてならない。
最終的には、住宅会社の営業マンや設計士、そのバックボーンにある会社自体を信用するかどうかでしか判断ができなのではないかと思う。
工事内容を理解する
これは住宅会社の考え方を理解するよりも難易度は高い。
経験上、棟数を多く建てている住宅会社、またはノウハウを持たない住宅会社は施工業者(大工さんなどの職人さんたち)の評判は軒並み悪いことが多い。
住宅会社の営業力と施工品質は比例しないのが現状だ。(もちろん比例している会社もある)
しかし、工事内容が適切であるかどうかなんて建築主は判断することができない。
前もって調べようとしても、判断要素は周囲の評判やインターネットに書かれた評判など、信憑性に欠けるものが多い。
例えそれが施工業者本人から聞いた言葉だとしても、その人が全てを把握しているわけではないので、これも信憑性に欠ける。
実際に現場にいて感じることであり、私なりの結論は「現場監督」の能力次第だということ。
様々な人が入れ替わり立ち替わり出入りする建築現場には、それを指示・統合する人物が必要だ。
また、施工品質を見極めることができ、おかしい所はきちんと指摘できる能力も必要である。
そういう意味では職人さんときちんとコミュニケーションが取れる人物であることも望まれる。
どんなに大手の会社でも、どんなに小さな工務店でも、現場監督が仕事ができるタイプであれば、基本的に問題は起こらない。(起きたとしても必ず建築主が納得する形となる)
さて、問題は建築主がこれをどうやって判断できるかということだ。
結論は非常に困難だと言わざるをえない。
良い情報も信憑性に欠け、悪い情報も信憑性に欠ける。
これも建築主と住宅会社の信頼関係にかかってくるしか結論の出しようがない。
信頼に結果で応える
住宅業界はとても厳しい競争が繰り広げられている業種である。
生き残るためには集客の強化や営業力の強化はどんな会社でも取り組んでいることだろう。
しかし、実際の工事では、建築主の計り知れないところで数多くのことが起きていることは、建築業界にいる人であれば誰もが知っていることである。
何か問題やミスが起こったとしても、表面化することがなければ建築主に知らされないまま竣工してしまうことだってある。
ここまで来ると、住宅会社は建築主から「信用」をいただき、契約をいただいているのだから、それを結果で応えるしか方法は無い。
問題やミスが起こっても、誠実に誠意を持って対応することが契約する時の条件になる。
建築主の「納得」は「信用」によって構築され、住宅会社は「信用」を「誠意」で応える。
これを結論にして、今回のブログを終わりにしたい。
皆様の家づくりが良いものでありますように。
CAM設計:宮村陶太
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