2015.01.07

91%の人が住まいに対して望んでいること

前回の続きです。

前回の記事:みんなが住まいに求めること(国交省のアンケート調査より)

このアンケート調査で断トツ1位を獲得したのは、「安らぎ・くつろぎの場所である」の91%。

ほとんどの方が、住まいは「安らぎ・くつろぎの場所である」と答えていることになる。

では、安らげる、そしてくつろげる住まいとはどのような住まいなのかを考えたい。

広くて開放的な空間

物が多く、狭苦しい空間では、なかなかくつろぐことはできない。

最適化された収納と、余裕のあるスペース、そして光が差し込む明るい部屋。

みんな、そんなお部屋をくつろげる空間として想像するのではないか。

 

 

しかし、ここで大きな問題点がある。

建築コストだ。

建築コストは、広さに比例して上昇していく。

坪数が大きくなればなるほど、使用する材料のボリュームが増加し、総工事費はそれに伴って高くなっていくのである。

だとすれば、広く開放的な空間を作るためには、それ相応のお金が必要になってくるということになる。

 

 

しかし、工夫をすることで建築コストを上げずに開放的な空間をつくることもできるが、土地の形状や予算によって、家全体の広さも限定的になり、それに伴ってリビングなどの広さも決定していく。

では、そのような限られた条件の中で、どのようにして開放的な空間を作り出すのか。

 

 

ポイントは「大開口の窓」と「吹き抜け空間」と「プライバシーの確保」の3つだ。

 

 

同じ坪数のリビングでも、大開口の窓を設けることで、外部空間を室内に取り込むことができる。

視覚的に「広く感じさせる」ことができるようになるのだ。

しかし、大開口の窓が存在するということは、それだけ外からリビングを覗くことができるというデメリットも同時に発生することになる。

 

 

そこで、目隠し塀の登場。

大開口の先に目隠し塀を立てることによって、外部の視線を遮ることができる。

大開口窓から目隠し塀までのスペースを坪庭にしたり、ウッドデッキにしたり、自分だけの「庭」をつくることで、見ても楽しい空間が現れる。

そのスペースでBBQをしたり、自分の作業場にしたりと活用方法はいくらでも思いつく。

 

 

また、目隠し塀の上から注ぎ込む日光を室内に取り込むことで、部屋を明るくすることができる。

 

 

吹き抜け空間を作ることにより、天井がもたらす閉塞感を回避する。

 

 

しかし、これもデメリットが存在する。

空間を広げれば広げるほど、冷暖房の効きが悪くなる。

サキュレーターなどをつけて対応はできるが、天井をつけるのとつけないのとでは電気代は変わってくる。

 

 

実質の坪数を大きくして、部屋の広さと収納を増やすか。

 

 

吹き抜け空間や大開口窓、目隠し塀などを使用してより開放的にするか。

 

 

お施主様の趣味や価値観、予算によって総合的に判断しなければならない。

 

 

どっちがお金がかかって、どっちがお金がかからないのかは使用する素材や広さによって変化するので一概には言えない。

必要なのは臨機応変に対応できる態勢と、お施主様とのコミュニケーションを濃くすることである。

 

 

次回も引き続き「くつろげる・安らげる住宅」について、断熱の部分で考えてみる。

 

 

皆様の家づくりがよいものでありますように。

CAM設計:宮村陶太

 

 

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